集中治療(ICU)の現場では
患者さんの状態を正確に把握するために
By Systemという定型的な評価を行います
→By Systemに関してはこちらの記事も参照ください
この評価項目は
覚えやすいように頭文字をとって
ABCDE+III
と呼ばれることもあります
A. Air way B. Breath C. Circulation D. Dysfunction of CNS E. Environment I . Infection I . Ion I . Insulin
この中で
Circulationは
循環動態を意味しますが
この指標はどう評価したら良いのか?
と言われると
答えにくいと思います
Swan-Ganzカテーテルを挿入している状態では
SvO2がその一番の指標になります
SvO2とは
Swan-Ganzカテーテルで計測しているのは
肺動脈での酸素飽和度です
血液の順路としては
全身(酸素を消費した後)
→右心房 →右心室 →肺動脈(SvO2:ここで酸素飽和度を計測) →肺の毛細血管で血液を酸素化
つまり、
血液が酸素化される直前の
酸素飽和度がSvO2となります
循環動態と酸素
それぞれの組織の細胞は栄養と酸素をつかって
エネルギーを産生するため
血液中の酸素は
細胞が生き残るためのエネルギー源ということになります
その観点では
循環動態が良好
≒組織に届いている酸素の量が十分である
と解釈することができます
血液中の栄養については
簡単にモニターすることができないため
循環動態の評価のモニターには
酸素がよく使われます
どこで計測する酸素が指標になるのか?
酸素の量が十分であった
と解釈するのに一番都合が良い計測部位はどこなのか
酸素をお小遣いに例えて説明します
子供にお小遣いを与えて
その金額が十分であったかどうかの指標は
何を見るのが良いでしょうか
お小遣いの金額でしょうか?
=酸素化された血液(SpO2など)
使った金額でしょうか?
=全身で消費した酸素の量(VO2)…そもそも実測できませんが
余った金額でしょうか?
=酸素を消費した後の血液(SvO2)
お小遣いを使い切らずに
たくさん余った状態であれば
お小遣いは十分であったと解釈しやすいと思います
つまり
ScvO2の値が維持されていれば
酸素の量は十分である、
循環動態は良好である
と判断できます
まとめ
SvO2は
循環動態の指標として
最も有効である理由について
解説しました
ICUやCCU以外で
Swan-Ganzカテーテルを
見る機会はないと思いますが
難しい指標ではないので
有効に活用してください
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