研修医やレジデントが
よく上級医から知識の確認をされるものの一つに
ステントグラフト治療の合併症の一つである
エンドリークの分類があります
基本的な内容ですが、
実習で回ってきてくれている学生さんから
心臓血管外科専門医試験を受験する人まで
問われることの多い分野なのでまとめておきました
エンドリークの分類
エンドリークはその言葉の通り
エンド(外):グラフトの外側に
リーク(漏れ):血流が漏れている、流入している
ことを指しますが、
どこからリークするかによって4つの分類がされています
下の図にまとめました
Type Ⅰ:グラフトの中枢(Ia)または末梢(Ib)からのリーク Type Ⅱ:下腸間膜動脈などグラフトにシールされた血管からのback flow Type Ⅲ:グラフトのつなぎ目からのリーク TypeⅣ:グラフトのファブリックからの染み出し TypeⅤ:血流がないにも関わらず瘤拡大
エンドリークの経過と対応
日本の腹部大動脈ステントグラフト挿入術(EVAR)の
レジストリー(JACSM)からのデータを引用すると、
エンドリークの発症頻度はそれぞれ
Type / 術中(%) / 退院時(%) Ⅰ. / 5.3% / 6.7% Ⅱ. / 16.2% / 16.6% Ⅲ. / 0.9% / 0.6% Ⅳ. / 9.0% / 0.6%
となっています。
※multiple endoleakは 2.1% / 0.4%
(Hoshina et al. 2019)
それぞれリークを確認した時の対応としては、
ガイドラインから引用すると、
TypeⅠとⅢは速やかに追加治療を行う必要があります。
TypeⅡは遷延(6ヶ月以上)したり、瘤拡大を認めた場合は
追加治療が検討されますが
治療の効果が乏しく、直接的に破裂に至りにくいので
定まった治療指針がありません。
TypeⅣは抗凝血薬を中止すれば消失するといわれています。
まとめ
エンドリークに関して簡単にまとめました。
開胸、開腹手術がメジャーであっても
知識として血管内治療の合併症も
おさえておきましょう。
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