IABP(intra-aortic balloon pumping)は
急性心不全の治療として
よく用いられますが
実はどのようにして心臓をサポートしているのか
理解しにくい機械でもあります
国家試験の勉強などで
“後負荷の軽減”
“冠動脈血流の増加”
というKeywordをおさえている方は多いですが
なぜそうなるのかを
正確に説明できない方は多いと思います
今回はIABPによるサポートの仕組みについて
わかりやすく解説します
後負荷の軽減
balloonを収縮することで
心臓から拍出する血液が大動脈に流れやすくなります
余談ですが
心臓にかかる負荷は大きく分けて二つあり、
心臓に流入する血液による負荷を前負荷
心臓から血液を拍出するときにかかる負荷を後負荷
と言います
![](https://yoriste.com/wp-content/uploads/2021/08/91bfe02ace532bee28130dd052a8541e-154x300.jpg)
ポイントはballoonが勢いよく収縮すると
もともとballoonが占めていた場所に
陰圧がかかるため
周囲の血液が引き込まれることです
この動的な作用により
心臓から流出する血液は
勢いよく心臓から引き込まれてでていくことになります
これがIABPによる
後負荷の軽減です
冠動脈血流の増加
balloonを拡張することにより
冠動脈に血流が流入しやすくなります
冠動脈の血流量が増えると
心臓に還流する血液が増え
心機能の改善につながります
![](https://yoriste.com/wp-content/uploads/2021/08/21078a5f5469c52d68957d3b3dccccd0-140x300.jpg)
ポイントはballoonが勢いよく拡張すると
もともとそこにいた血液が押し出されて
冠動脈に流入していくことです
これがIABPによる
冠動脈血流の増加です
IABPに使用される気体はヘリウム
勢いよくballoon内の気体を出し入れするためには
動きが軽快な気体、
つまり軽い気体を使用する必要があります
化学で習った元素周期表から
ヘリウムは水素の次に軽い気体です
水素は爆発する危険性から使用されず
ヘリウムが使われています
IABPの同期
balloonの拡張と収縮を
心臓の動きと同期させるために
IABPは心臓の動きをモニターしています
このモニターには
心電図と血圧波形が使用されます
心電図は血圧よりも早く波形が現れるため
正確な同期ができるメリットがあります
一方で血圧は移動中など心電図にノイズが入りやすい状況でも
正確に心臓の収縮期と拡張期を追従することができます
まとめ
IABPがどのようにして
心不全の治療を行っているかを解説しました
教科書では伝わりにくいballoonの動的な作用を
しっかりとイメージできることが
理解のコツになります
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