抗体の購入について

研究関連

大学院生の実験で
タンパク質を扱う際には
抗体を使用することが多いと思います

臨床大学院生の中には
初めてタンパク質を扱う実験をする方も多く
抗体の購入について
検討すべき点がよくわからなくて
困ることがあるのではないでしょうか

今回は抗体を購入する際に
注意すべきこと

簡潔にまとめて解説します

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データシートを確認する

これから抗体を購入する前に
チェックすべき項目を説明していきますが
まず何を見てチェックしていくのかわからないと
作業が始まりません

インターネットで検索して
目的の抗体のページを開いたら
“データシート”
を探してください

これに抗体に関する情報が
まとめられていますので
以下の項目を確認していきましょう

(由来)種を確認する

抗体を取得した種が
サンプルを取得した種と
同一にならないように気をつけます

例えば、
rabbitで作成した抗体は
rabbitで発現するタンパク質を通常は認識しません
※認識したら自己免疫になります

また、
2次抗体はこの種を認識するものを購入します

ウエスタンブロットで使用する場合は
ラボにこの種を認識する2次抗体を所持しているか

免疫染色をする場合は
2つ以上の抗体を用いる場合に
それらの種がかぶらないように

注意する必要があります

applicationを確認

抗体は下記のように
さまざまな実験系で使われます

WB:ウエスタンブロット
IP:免疫沈降
IF:免疫蛍光染色
IHC:免疫組織染色

購入する抗体が
どの実験で使用できることが実証されているのか
確認しておきましょう

予定している実験は
どのような細胞であるのか
確認が必要です

例えばhumanのWBで使用された実績があっても
mouseのWBで使用できるかどうかは分かりません

ただし、
記載がなかったからといって
使用できないとも限りません

実証実験がされていないだけで
使用可能な場合も多々あります

epitopeを確認する

抗体が認識する配列は
タンパク質のどの部分なのか
確認する必要があります

その配列は種で保存されているのか
それとも種で特異的なのか
この確認については
学位審査でよく質問されているような気がします

monoclonalかpolyclonalか確認する

monoclonal
腫瘍化した単一の細胞(ハイブリドーマ)から
取得した抗体です

この抗体は
epitopeが単一で
特異性が高く
lotによってクオリティーが安定している傾向にあります

mouseではほとんどmonoclonalです

polyclonal
抗原を摂取した種が
産生した抗体を精製しています

この抗体は
与えた抗原の
さまざまな配列をepitopeとするため
特異性がやや落ちる一方で
monoclonalよりも感度が高くなる傾向があります

どちらの方が優れているといった
比較はできないので
とりあえずは気にせずに
購入して良いものと思われます

サンプルが取り寄せ可能か確認する

applicationのところでも説明しましたが
サンプルの種や細胞に
使用可能か

これから行う実験系に
使用可能か

これは抗体のデータシートを見ても
わからないことが多いです

使ってみないとわからないですが
簡単に試せる値段ではないことが
抗体の難しいところです

一番効率的なのは
ラボ内や知り合いに
自分の検討している抗体の使用経験があれば
情報を問い合わせることです

上記ができない場合は
業者に確認して
サンプルがあれば取り寄せる方が良いでしょう

まとめ

初めて抗体を購入する臨床大学院生向けに
確認すべき点を簡潔に説明しました

データシートを参考にすべきですが
これが全てでないということも
知っておく必要があります

まずは手に入れてみないと実験が始まらないので
この記事で説明した点に注意して
抗体を取り寄せてみましょう

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