大学病院に勤務していると
少なからず学生と対話する機会を得るのですが
学生からよく相談を受ける内容に
“研修病院をどこでしたらいいか”
と言うものが多くあります
将来の診療科の選択でも悩み、
次に研修先で悩み、
学生の間は本当に悩みが絶えません
今回はその相談に対する外科医である私の考えを
誰でも簡単に閲覧できるように
記事にまとめました
どこでも変わらないと言うのは少し乱暴だが。
研修医を指導する能力という観点で言うと
もちろん施設によってシステムに違いはありますが、
結局教えるのは人です
医局と関わりの強い病院では
毎年人事で人の入れ替えがあるため
自分か研修医として就職した時に
同じ研修の質を維持している確証はありません
つまり、
指導力に関してはある程度は
病院の今の状態を参考にすることができないので
あまり重視するべきではないのかなと思います
一方で診療科はいきなり増えたり減ったりません
その病院にない診療科は学べないので
診療科が決まったいる方は
その診療科の存在と規模については
あらかじめ参考にしたほうがいいと思います
何を目的にするか
例えば、
一般外科や心臓血管外科、小児外科では
外科専門医の取得が将来的に必要になります
自分の進路となる分野の症例数で苦労することはありませんが、
むしろそうならない分野
（例えば心臓外科を目指す人であれば消化器外科など）
の単位を集めるのは
研修医のうちがいいと思います
ここではむしろ
自分の進路と関係のない症例を
研修医のうちに集めておくという少しズル賢い視点になります
また、
進路とする診療科のコミュニティを
・形成する
・拡大する
と言うのも
研修の目的として重要です
自分の出身大学と異なる大学病院に入局する場合や
市中の病院に後期レジデントで残る予定の場合は
初期研修でその関連病院でコミュニティを形成することが重要です
一方でコミュニティを拡大したい場合は
自分の将来勤務する予定のない病院で研修して
そこで人脈を作っておくと言うのも
一つの考え方です
どこで研修するか
研修する病院の立地に関しても
将来のことをイメージした時に
重要となる場合があります
例えば、
初期研修の後すぐに留学を考えている人は
研修中に先方とのアポを取るために
成田や関空とアクセスがいい場所に住むことが重要になります。
勉強会や手術手技の実習を盛んに行うためには
都心の病院の方が機会に恵まれるでしょう
また、
初期研修医として過ごす２年間は
人生の中で非常に濃いものになるため
第二の故郷の地となることもあります
もしかしたらその地で出会った人と
生涯連絡を取ることになるかもしれません
住んでみたいところに住むと言うのも
立派な動機だと思います
誰の意見を参考にするか
その病院で行われる研修の内容について
実際を知るためには
その病院で働いている人か
働いたことがある人に聞くしかありません
・初期研修医
・初期研修を終えた時間が経っていない先輩
この２パターンになると思います
まずは病院見学に行って
そこで働いている初期研修医に実際を聞いてみましょう
その際、
ある程度聞きたい内容をピックアップしておくことが大事なので
民間医局などである程度の情報を手に入れるといいでしょう
また、
入局を決めている人は
入局先の先輩で
特に上級医からの評判がいい人がいたら
どこで研修をしたか聞いてみるのもいいかもしれません
間違いのない選択はあるのか
どこの病院で研修するにしても
全てが完璧に充実したカリキュラムがあるわけではありません
勉強する機会は多いが自分の意見が治療方針は決められない病院
何でも自分で考えて動くがフィードバックがない病院
そんなもんだと思います
ただ、
その病院で努力すれば
誰でも研修を充実させることができると思うので
努力をする環境が整っているかは大事だと思います
集中できるデスクが与えられるか 論文はどれほど閲覧できる環境があるか モチベーションの高い研修医が集まるのか
この辺りは病院によって差がありますし、
自分ではどうにでもできない要因なので
研修病院を選択基準に入れてもいいかと思います
なお、
学会発表に関しては
盛んなことは非常にいいことですが
自分の将来選択する診療科以外の
発表に時間を割くのは
私個人的にはメリットに感じませんでした
まとめ
今回は研修病院の選択に悩む学生さんにむけて
私の意見を述べました
完璧に自分の要求を満たす病院を探すのは
非常に難しいと思うので
譲れないポイントを絞っておくことが大事だと思います
また、
研修を通して
身につけたいこと
学びたいこと
得たい人脈
などの目的を整理しておいた方が
有意義な研修病院の探索ができると思います
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