大動脈弁置換術を学生に体験してもらいました!

学生実習、進路関連

毎年行われている心臓血管外科学会主催のサマースクールですが、
今回はコロナウイルス感染症対策としてwet laboを集約化せず、
各地開催となりました

最終的な目標は豚の心臓を使って
大動脈弁置換術を施行してもらうというプランです

学生はまだ結紮も持針器の使い方も
よくわかっていない状態

参加してもらいました

上司と相談した結果
以下のようなプランで指導しました

  1. 人工血管を用いた端端吻合
  2. 上記の結紮、および1号絹糸の結紮
  3. 心臓を使って解剖の学習
  4. 大動脈弁置換術

全てのプランを
昼食休憩も挟みつつ
4時間程度で完結しました

学生さんも満足されたようで
指導した我々も達成感あり、
実りあり反省ありの会になりました

それぞれのステップについて考察してみました

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人工血管を用いた端端吻合

8mmの人工血管を横に並べて
全周性に連続吻合で端端吻合を完結しました

いきなりハードルの高い作業ではありますが
学生さんは一生懸命クリアしてくれました

ここでの学習目標は

  1. 持針器の操作に慣れる
  2. 刺入しやすいように持針器で把持する針の角度を考える
  3. 視野の確保の大事さを学ぶ

“手術は難しい”
ということではなく
“手術はノウハウがわかっていればできるもの”
ということを実感してもらうことができたと思います

結紮

時間が限られている中で
手術を完結させるため
一つの結紮方法を得意になってもらうことに
注力してもらいました

  1. 緩まない結紮
  2. スムーズな結紮
  3. 組織に優しい結紮

の3点をクリアできるように
理論的な指導を心がけました

大動脈弁置換術では
視野が取りにくくて
結紮している手元を確認できないことが予想されるため
この実習では一回一回丁寧に
結び目を確認しながら

結紮の仕上がりをレビューしながら指導しました

解剖の学習

教科書で勉強した解剖が
実際にはどうなっているのかを
心臓を解体しながら解説しました

手術を行うにあたっては
刺激伝導系
隣接する弁との
位置関係を確認しました

合併症を起こさないように
丁寧に手術をすること

学生さんに知っていただく機会になりました

大動脈弁置換術

いよいよ手術が体験できるということで
学生さんの目はキラキラしていました

上行大動脈は横切断し
良好な視野で体験していただきました

弁の糸掛は
non-everting mattressで行いました

実習1の応用で
針をかけやすい角度を考え
stay sutureや助手の展開により
良好な視野を確保することで
なんとかやり遂げてもらいました

最後の結紮も
実習2で学習した通り
確実・丁寧に行ってくれました

最後に左室側から切り開いて
逢着の仕上がりを確認しましたが
非常にきれいにインプラントされていて感動しました

まとめ

今回のwet laboでは
大動脈弁置換術を体験していただくという目標を
十分に達成できました

評価できる点としては
段階的な実習により
手技や理論が身に付いていたため
最終目標をクリアするため必要なハードルを
下げられたことだと思います

反省点としては
指導に慣れていなかったこと
時間が限られていたことなどにより
学生さんが理論をしっかり理解したり
自分で考えるために試行錯誤する時間を
十分に確保してあげられなかったことです

成功体験と達成感を味わってもらうことで
外科の仕事をより身近に感じてもらうように
努力していかなければいけませんね

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