医系大学院向け)ウエスタンブロットを覚える前に

研究関連

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

ウエスタンブロット
臨床の大学院に入学していも
経験する手技だと思います

細胞の実験
病理組織の実験
動物実験

あらゆる実験系で
タンパク質の発現量を調べる方法が
このウエスタンブロットです

今回は特に
博士課程に入学したばかり
臨床医学の大学院生に
知っておいてほしい内容です

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発現量を調べる

注目しているタンパク質
体内で作られるまでに

DNA→RNA→タンパク質

の過程を経ることになります

これをセントラルドグマといいます

最終的に
人体で機能するものは
タンパク質なので、
この量を定量、比較することで
実験の結果を考察することができます

このタンパク質を検出する方法
ウエスタンブロットになりますが、
検出できない場合は
タンパク質の前段階になる
RNA(mRNA)を
定量することになります。

これについてはのちに述べます。

ウエスタンブロットができる条件

ウエスタンブロットは、
ゲルで分子量ごとに分離されたタンパク質を
メンブレンに転写し、
目的とするタンパク質に得意的な
抗体を反応させて
タンパク質を検出する方法です

この実験が成立するためには

1. ゲルに流すサンプルに
目的とするタンパク質が
良質な状態で残っていること
2. そのタンパク質を検出できる
抗体が存在すること

が前提となります

1. に関しては
タンパク質は
温度やpHの変化に弱いものがあるため
取り扱いに注意する必要があることや、
細胞を溶出する際に
細胞内にいたプロテアーゼが拡散して
目的とするタンパク質を壊してしまう可能性を
頭に入れておかなければなりません

2. に関しては
抗体の選択は
その抗体ごとのデータシートを見て
サンプルを取り出す動物種
ウエスタンブロットに使えるか(application
確認する必要があります

2. に関しては
データシートに記載があっても
必ずしも検出できるわけではないし、
記載がなくても
必ずしも使用できないわけではないので
試してみないとわからないというのが
ピットフォールになります

抗体に関しては
以下の記事も参照されてください

ウエスタンブロットができない場合

mRNAを定量する方法は、
ノーザンブロットと
RT-PCRがあります

現在では
RT-PCRが用いられることが
ほとんどです

mRNAの発現量が増えていれば
間接的にタンパク質も増えている
考えることができます

しかし
ここにもピットフォールがあります

まず、
RNAは非常に分解されやすいため
タンパク質とは別の意味で
取り扱いに注意しなければなりまん

RNaseつまりRNA分解酵素は
人間の体の表面はもちろん
あらゆるところに溢れています

RNaseで汚染されている
実験器具を使用すれば
mRNAは分解されてしまい、
正確に測定できなくなります

また、
mRNAが増えているとしても
実はタンパク質量が増えているとは限りません

翻訳の効率
分解のスピードなど
実は最終的なタンパク質量に
影響を与える因子が
いくつか存在します

つまり、
RNA量で実験データを考察する場合は
非常に複雑な議論をする必要があり、
できることなら避けた方がいいでしょう

期限内に実験を終わらせるために

今回解説した通り
タンパク質の発現量を調べるためには
ウエスタンブロットが必要であり、
それができない実験は
非常に厄介な議論をしなければならないので
避けた方がいいでしょう

自分の扱う動物種での
ウエスタンブロットが論文のフィギュアにされている
タンパク質でデータを取ったり、
市販されている抗体
データシートを確認して
抗体が使えそうなタンパク質で
勝負することが大事です

基礎医学教室では

使用する抗体が非常に有名で
これまでにいろいろな論文に
使用されたもの
であれば
そのままデータとして使用します

しかし、
あまりそのタンパク質を扱う界隈で
使用されたことのない抗体であれば
目的とするタンパク質を
ノックダウンまたはノックアウト
その抗体でバンドが検出できなくなることまで
確認しています

この作業はさすがに
臨床医学では求められないようです

まとめ

実験は勝ち目のないところにハマると
抜け出すのが難しくなります

ウエスタンができそうで
ある程度勝負ができそうなタンパク質で
結果を出すように心がけましょう

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