心臓の残存機能の重要性

手術関連

先日の勉強会で
虚血性心筋症(ICM)に対する
治療をアップデートする内容でした

重症心不全では
植え込み型VAD、
心臓移植が盛んに行われていますが、
ドナー数に限界があるため
それに代わる治療として
選択肢があることは知っておく必要があると思います

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虚血性心筋症の対する外科治療

今回の勉強会では

・左室形成術
・心筋シート

の二つについて学習しました。

<左室形成術>

心筋梗塞により
壊死した心筋を切除し、
心臓の内腔を縮小することで
心機能の回復を狙う治療です

梗塞部位によって
Dor手術SAVE手術などが
選択されます

左室形成術は
LVESVI≧100 ml/m2に対して
適応とされてきましたが、
STICH trialで手術の有効性が
疑問視されたことから
手術件数が減少しています

しかし、
手術によって明らかに
心機能が改善する症例もあり、
手術適応を確立することが
課題となっています

<心筋シート>

筋芽細胞シート
iPS細胞シートがあり、
いずれも心筋梗塞を起こした部位の
心筋に対して
外科的にシートを被せます

シートそのものの
収縮に期待するのではなく、
自己の心臓の血管新生を促進し、
気絶心筋を復活させる治療です

自己下腿骨格筋由来の
筋芽細胞シートは
適応施設に限定して
症例が重ねられています

iPS細胞由来の
心筋シートは
まだ症例が非常に少なく
今後のデータが期待されます

二つの治療の共通点

左室形成術の
予後を規定する因子に
残存心筋の拡張機能が残っている
つまり線維化などのリモデリングが
進行していないことが挙げられます

心筋シートにおいても
虚血によって
一時的に冬眠している心筋
血流を与えることで
復活させることを期待しており、
壊死が進行していれば
効果が望めません

両者に共通することは
術前の残存心筋の機能
術後の予後に大きく関わることで、
その評価が手術の適応を決めるために
非常に大事になるということです

残存心筋の評価

左室全体の機能の評価として
線維化の程度は
心エコーで拡張機能を見ることができます

trans mitral flowで
E/AやE/e’を計測すると
globalな拡張機能を評価できます

この方法の弱点は
MRのある症例や、
すでにMVRをした症例では
正確な評価ができない点です

その場合は
TAPSEやRVFACなどで
右室の評価をすることが
拡張機能と強い相関があり
よいとされます

また、
MRIで線維化の程度を
評価する方法もあります

この場合は
diffuseな病変で
定量できないなどの
デメリットがあります

いずれにせよ
残存心筋の評価に関しては
画像評価での一般化がされておらず
今後の課題となっています

治療の選択肢は広がる

これらの手術に対する
Responderの解析が進み、
手術の選択肢が広がれば、
患者は自分の心臓に合った治療を
選択することが可能になります

古典的な手術の再評価も
最先端治療の導入も
我々心臓血管外科医は
知識をアップデートさせ、
乗り遅れないようにしなければなりませんね

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