ローテートしていただいた研修医の先生に対して
ICU管理についてみなさんはどのように指導されますか?
私はライン整理を手伝ってもらうことから
まずスタートすると決めています
ICUに入室したら
看護師さんがラインを整理してくれますが
研修医の先生にもそれに参加して
ラインを整理しながら
どこに何が流れているのか正確に把握してもらうことから始めています
心臓血管外科の術後の点滴ラインは
少なくとも3種類の役割を持ったものが存在します
メインルート
カテコラミンなどの
持続で途切れることなく投与する必要がある薬剤を
繋いでいるラインです
特徴としては
最上流に流れている
メインの点滴の流速に乗せる形で
枝から必要な薬剤を繋いでいきます
一番大事なことは
このルートに流量の緩急があってはならないこと
大事な薬剤を決まった速度で流し続けることが大事なので
横からivをしたり
メインの流速を急激に変えてはいけません
ボリュームルート
循環の維持にボリューム負荷が必要なときに
輸血や細胞外液を使用するためのルートです
横からivすることも可能で
臨機応変に使用できますが
もしもの時に急速流量で点滴を入れる可能性があるため
急に体に入ると良くない薬は使用できません
術後の急性期には
サードスペースに水分が逃げたり
ドレーンから出血したりすることがあるので
必ず用意しておくべきラインです
鎮静ルート
プロポフォールやフェンタニルなど
鎮静剤をまとめるルートです
余裕があれば点滴ごとに分けたほうが良いですが、
使用する目的が同じという意味で
まとめておくことが多いです
痙攣やシバリングが起きたり
挿管管理中に起きてしまった時に
フラッシュする必要があることがあります
その際に鎮静作用以外の目的で使用している薬剤がつながっていると
それも同時にフラッシュされてしまうため、
基本的には鎮静剤は別にしておいたほうが良いでしょう
その他のルート
ハンプやエラスポールなど
配合禁忌の多い薬剤は
上記とは別に確保する必要があります
まとめ
必要な薬剤を安全に使用するために
ルートを整理することはICU管理では非常に重要です
薬剤の知識や処置の技術ばかりに目を奪われると
ルートのトラブルで致命的なミスをする可能性があります
研修医の先生に指導されるときは
何よりも安全を第一に
ルートの知識を教えてあげてください
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