重症肝硬変の開心術

手術関連

肝硬変(Child-pugh C)の開心術は
一般的には手術適応外になるので
実際にメスを入れるとどうなってしまうのか
経験することはまずありません

私は心臓移植ドナーの提出グループの一員として
このようなドナーから心臓を摘出する手術に関わったため
その時の印象を記事にしますので参考にされてください。

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ドナー心臓摘出手術の特徴

・手術時間が各ステップ毎に細かく決められている
・多臓器との境界線を手術を進めながら決めていく

例えば、

  • 手術開始
  • ヘパリン投与
  • 大動脈遮断

など
最終的な摘出時間を合わせるために、
それまでの過程に関しても予定時間が細かく決められています

ドナーの状態に関係なく
手術を先に先に進めなければいけません

出血傾向であっても
完全止血を得るまで進行を止めることができず、
視野が若干悪くても気にせず進めます

他臓器の摘出グループとコミュニケーションを取りながら
境界線を決めるため
その時間も十分に取らなければなければなりません

上記により
一般的な開心術を比較すると
単位時間の出血量は多い手術になると言う前提があります

Child-Pugh Cの手術の実際

皮下静脈が怒張しており、
皮膚切開の段階で多量の出血
血小板低下や凝固異常もあるため、
電気メスで少し通電する程度では止血が得られませんでした

本症例では全てのカニュレーションが終わってヘパリン化するまでに
MAPを10単位以上消費しました

麻酔科サイドでの輸血は2人係でポンピングし続ける状態で
血圧は70-80程度を維持するするのがやっとでした

この後速やかに大動脈遮断し、
totalで20単位ほどのMAPを使用して
なんとかそれぞれの臓器摘出が無事に施行されました

まとめ

Child-Pugh Cの肝硬変は手術適応にならないため
普段はこのような患者に手術をする機会はありません

一体そのような患者にメスを入れた場合に
どのようになるのかは想像できないと思いますが
今回のように臓器移植ドナー摘出術では
その機会を得る場合があります

私の印象としては
出血傾向、止血困難により
安全に手術を進められる状態ではないという印象でした

もし同様の機会に直面する人や、
肝硬変の患者になぜ手術ができないのか疑問に思った方に
少しでも役に立つ知識にになれば嬉しいです

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