心臓血管外科専門医試験の過去問より(LVAD)

手術関連

LVAD(Left Ventricular Assist Device)は
その名の通り
左心室の機能を補助する装置です

早速問題を見てみます

スポンサーリンク

過去問より抜粋

解説

左心補助人工心臓
= LVADとなります

LVADは使用している施設以外の人は
見ることのない特殊な装置ですが
左心室の機能は
この機械に代替されている
ため
この問題では
右心機能の評価と治療についての知識を問われています

右心機能の評価

この問題で提示されている情報で
右心機能を評価できるのは
中心静脈圧(CVP)です

右心室からoutputできないと
右心室・右心房に血液が貯留し
CVPが上昇します

心タンポナーデでも
同様の情報が得られるため
必ず超音波検査でrule outする必要があります

右心室からoutputできないと
左心室に血液が返ってこないので
LVADが十分に脱血できない状態になり
low outputになってしまいます
※問題文でいう”チャンバーの充満が不良”の状態です

右心機能を改善する

1.前負荷を増やす
2.右心室を動かす
3.後負荷を下げる

これらにより右心機能の改善を目指します

1.前負荷を増やす

輸液輸血を負荷することを指します

今回の問題ではCVPがすでに上昇しているため
さらにvolumeを負荷することは
妥当とは言えません

2.右心室を動かす

カテコラミンを増量することで
右心室を動かすことを指します

具体的にはドブタミンやPDEIII阻害薬などを多用しますが
それでも不十分な場合はアドレナリンも追加します

今回の問題ではすでにアドレナリンを投与していることから
高容量のカテコラミンを使用しており
頻脈も顕在化していることから
さらに増量することは難しいと考えられます

3.後負荷を下げる

右心系の後負荷は肺動脈であり
これらを拡張させる目的で
ニトログリセリン一酸化窒素(NO)の投与を行います

これらの対応で改善しない場合
機械的な補助に頼るしかありませんが
肺動脈にはIABPのようなものは留置できないため
右室補助循環装置(RVAD)を追加するか
右房に脱血管を追加して肺循環を一部skipするしかありません

よって答えはbdになります

まとめ

術後の集中治療で
右心機能に注目した管理をすることは
LVADの管理に慣れた施設でなければ少ないと思います

今回の問題を通して
右心機能が悪い患者の術後管理
的確に行える力がつくといいですね

コメント

タイトルとURLをコピーしました