手術に対する音楽の影響について

手術関連

音楽には人の感情をコントロールする力があります
スポーツ選手が集中力を上げるために
試合の前に音楽を聴くという話はよく耳にしますよね

私たち外科医の中には
手術中に音楽をかけることを
好む人と嫌う人がいます

音楽が手術のパフォーマンスをどのように導くのか

この疑問に対して研究した論文
International Journal of Surgery
から2020年に発表されています

この論文は論文検索サイトで
music and operation theatre
music and surgery
で検索してヒットしたものを横断解析した
systematic reviewという形式です

余談ですが海外では手術室のことを
operation theatre“と言うことがあり
つまり劇場であるという意味合いになります

以前海外留学経験のある上司から
”ここは劇場だから全ての行為がプロフェッショナルでなければならない
入念な準備をして手術中は客に見られているつもりで
最高のパフォーマンスができるように心がけなさい”
と言われた記憶が残っています

この論文の結論としては
音楽の種類によるが
良い効果が悪い効果を上回ることが多かった
となっています

参考論文
El Boghdady, Michael, and Beatrice Marianne Ewalds-Kvist. 2020. “The Influence of Music on the Surgical Task Performance: A Systematic Review.” International Journal of Surgery  73 (January): 101–12

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良い効果の例

形成外科手術における
・手術時間の短縮
・皮膚縫合の質の向上

腹腔鏡手術のトレーニングにおける
・手技時間の短縮
・タスククリアの質の向上

外科手技獲得(surgical motor leaning)の向上

これらはMozartなどのクラシック音楽を流した効果であり
外科医のストレスを減らした効果であると考察されています

悪い効果の例

手術中の外科医の依頼に対して
看護師が聞き返した回数が増えた

という結果が出ています

また、手術部の感染(surgical-site infection)が増えたという
報告もあります

これらはどのような音楽であったかの記載はありませんが
おそらく音量が大きかったのではないかと考察されています

25.2dBがnoise-groupのcut-off値としているみたいです

考察

良い効果を示した論文の方が多かったため
良い効果が悪い効果を上回っている(override)と結論づけています

studyに使用した音楽がMozartであったため
Mozart effect
なんて言ったりもしていますが、
リラックスできる音楽であれば良いとも言っています

音量が大きすぎることが有害になるようです

僕の経験上では
手術室では常にオルゴールや穏やかな音楽が流れており
手術に良い効果が現れる工夫は
日常的に実践されているように思います

まとめ

手術中は穏やかでリラックスできる音楽を流すことで
医療従事者にも患者さんにも
良い効果があるでしょう

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