IABP(intra-aortic balloon pumping)は
急性心不全の治療として
よく用いられますが
実はどのようにして心臓をサポートしているのか
理解しにくい機械でもあります
国家試験の勉強などで
“後負荷の軽減”
“冠動脈血流の増加”
というKeywordをおさえている方は多いですが
なぜそうなるのかを
正確に説明できない方は多いと思います
今回はIABPによるサポートの仕組みについて
わかりやすく解説します
後負荷の軽減
balloonを収縮することで
心臓から拍出する血液が大動脈に流れやすくなります
余談ですが
心臓にかかる負荷は大きく分けて二つあり、
心臓に流入する血液による負荷を前負荷
心臓から血液を拍出するときにかかる負荷を後負荷
と言います
ポイントはballoonが勢いよく収縮すると
もともとballoonが占めていた場所に
陰圧がかかるため
周囲の血液が引き込まれることです
この動的な作用により
心臓から流出する血液は
勢いよく心臓から引き込まれてでていくことになります
これがIABPによる
後負荷の軽減です
冠動脈血流の増加
balloonを拡張することにより
冠動脈に血流が流入しやすくなります
冠動脈の血流量が増えると
心臓に還流する血液が増え
心機能の改善につながります
ポイントはballoonが勢いよく拡張すると
もともとそこにいた血液が押し出されて
冠動脈に流入していくことです
これがIABPによる
冠動脈血流の増加です
IABPに使用される気体はヘリウム
勢いよくballoon内の気体を出し入れするためには
動きが軽快な気体、
つまり軽い気体を使用する必要があります
化学で習った元素周期表から
ヘリウムは水素の次に軽い気体です
水素は爆発する危険性から使用されず
ヘリウムが使われています
IABPの同期
balloonの拡張と収縮を
心臓の動きと同期させるために
IABPは心臓の動きをモニターしています
このモニターには
心電図と血圧波形が使用されます
心電図は血圧よりも早く波形が現れるため
正確な同期ができるメリットがあります
一方で血圧は移動中など心電図にノイズが入りやすい状況でも
正確に心臓の収縮期と拡張期を追従することができます
まとめ
IABPがどのようにして
心不全の治療を行っているかを解説しました
教科書では伝わりにくいballoonの動的な作用を
しっかりとイメージできることが
理解のコツになります
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